まんまと罠に、ハマりまして

「…雪乃の為だったのは、ほんとだ。でも渡来。誤解しないでくれ。雪乃とはもう終わってる。別れてるんだ。渡来との事も、暇潰しなんかじゃない」
「課長…」


これは世間で言う、修羅場、というやつなんだろうか。


「なに言ってるの、千暁？おかしくなった？」
「おかしいのは雪乃だろ？ちゃんと話し合って、納得してただろ？」
「納得？何に？私は別れたなんて思ってないって言ったでしょ？別れるつもりもないって」
「なに言って…。昨日ちゃんと…！」
「あんなの。嘘に決まってるじゃない」
「え？」
「このコの前ではっきりさせる為の嘘よ」
「ちょ、待てって。なに言ってるんだ？」
「言ったでしょ？千暁の行動パターンはよく分かってるって。お見通しなの。私が納得した振りをすれば、このコと会うだろうって。連れてくるだろうって分かってたからよ」
「……雪乃？」