まんまと罠に、ハマりまして
「それは千暁も分かってることでしょ?」


課長はそんなゆきのさんに、ふっと目を伏せると。
ふぅーっと大きく、息を吐いて。
自分を落ち着かせるためなのか。
一呼吸おいて、静かに口にした。


「俺の横に居るべきなのは、雪乃じゃない」


そう、きっぱりと。
その言葉で。


「!」


初めて、ゆきのさんの表情が変わる。

でも。
そこで怯むことはなくて。


「千暁。いいのよ?このコがいるからって、このコに気を使う必要なんてないわ」


更に強気に言い放つ。


「雪乃…」


あくまでも、引かない姿勢。
それだけ。
自分に自信があるという事。

すごい女性(ヒト)だな…と。
こんな状況にも関わらず、感心してしまう。
私には無いもの。

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