まんまと罠に、ハマりまして
課長は淹れ直したコーヒーを手に、また私の前に座ると。


「でも……」


またふと、目を伏せて。


「その話は、俺にまわってきたんだ…」


呟くように、口にした。


「…え?」
「まだ内々で、正式ではなかったけど。上司…あ、前に話した事あったろ?近寄りがたかったっていう」
「あ、はい」
「その上司に、言われたんだ。その時に任されてた仕事があって、それが成功したら。そのポストに就くのはお前だって」
「え…、それって…」
「ん…」


瞬間。


「っ……」


課長の見せたその表情に、ドキッとしてしまう。
その時の感情が甦ってきてる、切なさにも似た、苦痛混じりの。
そんな………。




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