まんまと罠に、ハマりまして
大切なひとの、大事な目標を奪ってしまう。

それは課長にとって、どれだけの苦痛だったんだろう。


「内々ではあったけど。同じ部署だったし、もし俺が就いたとしても、最年少の抜擢っていうこともあって、噂はあっという間に広がって。すぐ、雪乃にも伝わって…」
「……………………」


私には、想像することすら出来ない。


「それでも。良かったねって。普通に笑ってた。絶対、悔しかったはずなのに」


課長は、そんな雪乃さんに。


「何も言えなかったんだ…」


どう接していいのか、分からなくなった、と。
でも、仕事に手を抜くことも出来ないし、もちろん、失敗することも。

何をどうすれば、お互いにとっていい方向へ進むのか。


「ほんとに、分からなかった…」


ポツリと呟いた。

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