まんまと罠に、ハマりまして
「渡来さん、これお願い」
「はい」


課長はあえて聞かないだけで、何となく、圭くんの事には勘づいているだろうけど。
圭くんは、私と課長が…なんて、全く気づいていないはず。
ただの、上司と部下だと思ってる。

当の本人、私ですら、未だに不思議で仕方ないのに。
気づくはずもないし、思いもしないのは当然の事。

だからと言って、今さらで。
完全に話すタイミングを逃してしまって…。

だから余計に。
長く待たせるなんて出来ない。

また、ゴハン行こう、言ってくれてたけど。
きっと私の中で答えが出るまで、

─会うべきじゃないんだろうな

って。


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