まんまと罠に、ハマりまして
あぁ、


─違うのに


確かに、本社(ここ)よりも通い慣れた場所。
売り場に行ける事も嬉しかったけど。

今のは、


─そうじゃないのに


課長に伝えたかったけど。
みんなの前ではさすがに言えなくて。


「行ってきます」


私は課長にペコリと頭を下げて。


「すいません。行ってきます」


皆にも伝えて、


『いってらっしゃい』


見送られながら。
広報部を出た。


「課長。これからキュービックさん来ますよね?」
「あぁ。小杉、会議室の準備お願いできるか?」
「はい。分かりました。でも、渡来さん行かせて良かったんですか?櫻井さん、がっかりしそうですけど」
「…だからだよ」
「え?」
「…いや。頼むな」
「あ、はい」




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