まんまと罠に、ハマりまして
「ごめんなさいね。もう私となんて、会いたくなかったでしょ?」


ランチメニューがたくさんあると評判のカフェ。
想像以上のメニュー数に圧倒されてる私に苦笑を浮かべて、ゆきのさんが一番に口にしたのは、その言葉だった。

その雰囲気が、課長に似てるな、感じながら、


「…いいえ」


私は答える。


「いいのよ。気なんて使わなくて」


ゆきのさんはまた苦笑いを浮かべていたけれど。
嘘じゃなかった。

もちろん、会いたいとは思ってなかったけど。
会いたくない、とも、思ってはいなかった。
ただ、もう関わることはないだろうな、思ってはいたけれど…。


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