まんまと罠に、ハマりまして
「ふたり、とか。デパ地下なんて、すぐみつかっちゃいますよ」
「そうか?」
「多分…」
「まぁ、バレないようにする約束だしな」


それを悟られないよう、課長からお皿に視線を移してみたけど。


「仕方ないか」


課長は特に、気にしてない様子で。


「今週末は、ちょっと遠出したいな」
「え?」
「俺の部屋ばかりも、つまらないだろ?」
「つまらなくは…」
「そっか?それに。外の方が、渡来の緊張も和らぐだろうし」


また微笑んで見せる。
そして。


「まぁ、俺が。渡来と出かけたいんだけどな」


今度はトマトをフォークで刺しながら、さらりとそう、口にした。
無理強いはしないけど…と。


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