まんまと罠に、ハマりまして
課長の部屋に来てから、私は課長の名前を呼ばないように、気をつけながら会話をしていて。

それは多分、なにげに課長も気づいてるはず。

とりあえず、


『上條さん』


さすがにいきなり下の名前では呼べないし。
そう呼ぶことに決めてきたけど。
呼ぶ勇気と。
タイミングも難しくて。

アイスワイン。


「いい香りですね」
「そうだな。じゃあ。いただきます」
「いただきます」


そう。
お酒の力をここはお借りして。
呼んでみよう、という作戦。

ほろ酔いなら、しらふの時より呼べるかなって。
単純だけど…。

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