夜更けにチョコレート


思いきり床にねじ伏せてやったら、リョウは顔を強張らせて唇を噛んだ。



お前を倒すなど、俺には容易いこと。
ほんの少し本気を出すだけでいい。



なおも抵抗しようともがくリョウの悔しそうな顔に、右手に握り締めたモノを突き立てた。行き場を失くしていた右手の人差し指が、しっくりとトリガーに収まる。



定位置に収まった安心感。
銃口がまっすぐリョウを指す。
ぴくりと頬を震わせて、リョウが俺を睨みつける。荒く乱れていた息を、徐々に落ち着かせながら。



ぞくっとする、いい顔だ。
思わず、顔がニヤけてしまいそうになる。



「悪いが、死んでもらおう」



俺の声を聞いて、リョウの表情が僅かに緩んだ。ゆっくりと開いていく唇から、息が漏れ出る。



「シ……」



リョウが声を発するより早く、トリガーを引いた。



バイバイ、
俺のターゲット。




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