夜更けにチョコレート


息を飲んだリョウの顔を凝視する。
張り詰めた糸が、するすると解けていく。



頬を静かに伝い落ちていく粘着質な液体を、リョウはそっと手で拭った。見開いていた目を何度も瞬かせて。



手にまとわり付く液体を見つめるリョウの顔から、緊張感が抜けていく。



もう一度、銃口をリョウに向けた。
その首に。



ダウンジャケットの襟元に銃口をねじ込みながら、一気にファスナーを下ろして広げる。リョウの手が銃身を掴んだ。



「シュン、どういうつもりだ?」



リョウが俺の名を呼ぶ。
やっと俺だとわかったらしい。



しかし、この顔はお前の知ってる俺の顔じゃない。



本当に、俺がシュンだと思うか?



「次が最後だ、覚悟しな」



銃口を強く押し付けて、トリガーに掛けた。再び抵抗するリョウの顔に、苛立ちが覗き始めている。



さっきまで怯えていたくせに生意気な。



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