夜更けにチョコレート


トリガーを引いた瞬間、リョウの表情が強張った。銃口から発射された液体が、ゆっくりと首を流れ落ちていく。



「シュン、やめろって、変装してもわかってる、声変えてないだろ?」



そうだ、お前の言う通り。
俺は変装して顔は変えているが、声までは変えていない。わかって当然なのだが。



「よく俺だとわかったな、褒めてやろう」


「もういい、早く退いてくれよ、気持ち悪いだろ」



馬乗りになった俺を振り落とそうともがくほどに、リョウの頬と首に付いた液体は広がっていく。



そう簡単に退くものか。
退けと言われたら、余計に退くものかと思ってしまうのが俺。



こうなったら、とことん泣かしてやる。



俺は銃を放り出し、リョウの腕を掴み上げた。この体勢が余程気に入らないのか、さらに激しく抵抗するリョウを床に押さえつける。



「シュン、退けってば」


「退いてほしいか? なら、力尽くで退けてみろよ?」



必死な顔が可愛いじゃないか。
お前が抵抗するほどに、俺は……


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