夜更けにチョコレート
ソファから立って、俺は玄関へ。
玄関近くのドアを開けた小さな空間に、俺の持ってきた紙袋がちょこんと置いてある。
「ほら、ちゃんと包装してあるから大丈夫だ」
「本当に大丈夫か? しかし、どうしてトイレなんかに隠れるかなあ?」
俺が手渡した紙袋をぐるりと見回して、リョウは顔をしかめる。
トイレに隠れていた俺は、チョコレートの入った紙袋を置きっ放しにしていたのだ。だけど紙袋の大きさでは、テーブルの上に置いてある彼女のものよりも勝っている。
俺の言いたいことがわかったのか、リョウはくすっと笑った。
「大きいから許す、包装してあるから全然気にしないよ、ありがとう」
まったく、可愛い顔で笑うなよ。
男のくせにチョコレートが好きなんて、お前は女々しいヤツ。
さて、来年はどうしてやろうか?
ー 完 ー