【完】こいつ、俺のだから。
「そりゃあ、あんな爽やかな笑顔は、ずっと見ていたくなるでしょ」
「!!」
うつむいてた佐野は、軽くショックを受けたような表情で顔をあげた。
そして、ワナワナと肩が震え出している。
たぶん、寒いとかではない。
「い、言っとくけど、お前は今俺と付き合ってるんだから、間違っても他のやつを好きになったらダメなんだからな! 」
眉を釣り上げ、必死に訴えてくる佐野。
やっぱり今日の佐野は、不機嫌きまわりない。
「1ヶ月っていう約束だろ!?その間、お前はイヤでも、俺の言うこと聞かなきゃいけないんだからな!分かってるのかよ!」
おいおい、なにを誤解してるのやら……。
「ちょっと待って。落ち着け佐野。あたし別に、楢崎のこと好きじゃないって。そりゃあ友達としては心から尊敬してるけどさ」