【完】こいつ、俺のだから。
「DVD持ってこいよ。学校帰りに俺の家で見るから」
「え、あたしが貸さなきゃなの?」
「当たり前だろ。ちなみにお前も一緒に見るんだからな」
「はっ!?」
「わかったか?絶対だぞ。じゃあな」
ズイッとカバンを押し付けるように渡すと、そのまま来た道を引き返して行ってしまった佐野。
その強引さに呆気に取られ、ものも言えない。
「嘘でしょ……?」
ふたりで、しかも佐野の家でDVD鑑賞とか、無理無理!
「絶対無理だからっ!!」
家の前。
あたしの叫び声は、静かな夕暮れの中で響いた。