【完】こいつ、俺のだから。
今度は固まるあたしの腕を掴み、強引に荷台に座らせる。
「いった!今、タイヤで足打ったんだけど!」
「掴まっとけよ〜」
無視かよ!謝れよ!!
抵抗する暇もなく走り出した自転車は、どんどんスピードをあげていく。
「ちょっと止めて!降ろしてよ!」
バシバシと背中を叩いて、佐野にそう訴える。
だがしかし、ちょうどそこで曲がり角になり、自転車が急カーブした。
「きゃっ!」
バランスを崩したあたしは、思わず佐野の腰に手を回してしがみつく。
「っ!」
すると佐野の背筋がピンッとした、気がした。
「お、おま!どこ触ってんだよ!変態!」
「はぁぁ!?腰に掴まっただけでしょうが!」