【完】こいつ、俺のだから。
しばらくして、テレビにはあたしの好きな映画がついた。
まじで佐野とDVD鑑賞するの……?
「なにそんなとこつっ立ってるんだよ。早く座れ」
自分の隣をポンポンと叩く佐野。
あたしは警戒しながら、いそいそとそこに座った。
すぐ隣には、佐野がいる。
これあと2時間くらい耐えなきゃなんないの?
無理無理。窒息しそう。
だけどそう思ってたのはあたしの方だけみたいだった。
なんと佐野は思いのほか、この映画に見入ってる。
ところどころ、「こいつかっけー」という声も聞こえてきた。
あたしも、この映画の主人公の男の子が好きだ。
笑える要素もあり、だけど自分の弱さと葛藤して成長していく男の子。
大切な人を守るために、強くなろうと頑張る姿は感動ものだ。
……あたしの好きな、ヒーローみたいな男の子。