【完】こいつ、俺のだから。
「ねぇちょっと……!いい加減、そろそろ恥ずかしいんだけど!」
「あぁ?」
「あぁ?じゃないよ!人目が気になるでしょ!離して!」
学校に着いたというのに、佐野は一向に手を離す様子がない。
周りの登校中の生徒に見られてなんぼだ。
ただでさえ佐野は容姿端麗で、周りからも一目置かれてる存在なのに、そんな奴の横にいる私だって注目されざるを得ないじゃないか!
「別に堂々としてればいいだろ。俺ら付き合ってるんだし」
「付き合ってない!」
何度言えばわかるんだ!こいつは!
あぁ、やっと来た!昇降口!
ここで靴を変える瞬間を、ずっと待ち望んでた!!
「ほら、早く靴履き替えなきゃだから、離して」
さすがに靴を履き替えるのは承知したらしい。
パッと手が離れた。