【完】こいつ、俺のだから。



「ねぇちょっと……!いい加減、そろそろ恥ずかしいんだけど!」



「あぁ?」



「あぁ?じゃないよ!人目が気になるでしょ!離して!」



学校に着いたというのに、佐野は一向に手を離す様子がない。



周りの登校中の生徒に見られてなんぼだ。



ただでさえ佐野は容姿端麗で、周りからも一目置かれてる存在なのに、そんな奴の横にいる私だって注目されざるを得ないじゃないか!




「別に堂々としてればいいだろ。俺ら付き合ってるんだし」



「付き合ってない!」



何度言えばわかるんだ!こいつは!



あぁ、やっと来た!昇降口!



ここで靴を変える瞬間を、ずっと待ち望んでた!!



「ほら、早く靴履き替えなきゃだから、離して」



さすがに靴を履き替えるのは承知したらしい。


パッと手が離れた。



< 14 / 418 >

この作品をシェア

pagetop