【完】こいつ、俺のだから。
もうさ。
なんかホントに、どうでもよくなった。
「降ろして」
「は?」
「いいから、早く降ろしてよ!!」
「うわっ!バカ暴れんな!あぶねぇだろ!?」
無理やり降りようとして暴れるあたしを、咄嗟に片手を後ろに回して支える佐野。
その手はひどく優しい。
だけどあたしの怒りは、最高頂に達していた。
「うるさいなぁ!
鼻毛なんて人間誰にもついてるでしょ!?佐野にもついてるし!よく見てみなよ、もしかして自分は生えてないと思ってた!?残念だったな!佐野なんて、せいぜい鏡を見て絶望してろ!」
「……お、おい」
「もういや!歩いて帰る!降ろして!」
「ちょっと落ち着けって」
「落ち着いてられるかっ!!」