【完】こいつ、俺のだから。
光の言う、その出来事が起こったのは、棒倒し競技が始まる前のときのことだった───……。
「あー、体育祭やだなぁ」
「こらこら、体育祭実行委員がなんてこと言ってるんだ」
あたしの本音に、隣にいた楢崎がそう言った。
「おい、お前ら近すぎる」
実行委員の仕事をして帰ってきたあたし達の間を、割って入ってきたのは佐野だった。
「あ、佐野ー!俺のこと迎えに来てくれたのか!?」
楢崎はわざとキャピキャピしてみせて、佐野の腕に絡みついて見せた。
「うわっ。くっつくな、暑苦しい!」
……見てるこっちも暑苦しいぜ。
ていうか君たち、イチャついてる暇ないよね?
次の棒倒し、君たち出るよね?
「佐野ってば照れちゃって。俺のこと好きって言ってくれたこと、忘れてないぜ☆」
「それはすぐに忘れろ!!」