【完】こいつ、俺のだから。
そこからだった。
佐野が異様に、やる気を出したのは。
「……ま、まぁ俺は、最初っから優勝する気でいたけどな」
チラチラとどこかあたしの様子を伺いながら、そう言ってる佐野。
「そうだ佐野!そのいきだ!俺らなら絶対にいける!」
「当たり前だ。優勝なんて、抹茶のさいさいだろ」
ふふんと得意気な佐野に、あたしはフリーズした。
夏の暑さもぶっ飛ぶほどの、フリーズだ。
今、抹茶のさいさいって言ったよね?
あれ、おかしいな?
お茶の子さいさいだよね?
あんたバカなの?いや、バカだろ!?
あたしびっくりしたよ。
ほら、光まで目がキョトンてしてる。
「よし、じゃあな中原!打越!俺らの活躍見とけよー!」
フリーズ状態なあたし達を差し置き、そう言って手を振りながら、楢崎と佐野は、入場門の方へと行ってしまった。
――そして、話は冒頭に戻り、今に至るというワケだ。