【完】こいつ、俺のだから。
「単純だよね、佐野くんも。わかりやすいっていうか。
あ、ほら、うちらのクラス本当に勝ったよ」
「ホントだ。すげー」
応援席に座ってた他の女の子達は、自分のクラスの男子の活躍ぶりに歓声をあげている。
あたしだけが、おとなしく感心しているだけだった。
そんなあたしの反応に、光は再びため息をつく。
「仁菜がこんなだと、佐野くんも大変だわ……」
「え、なにが?」
「なんでもなーい。ていうか次クラス対抗リレーだから、行かなきゃ」
光に促され、あたし達は入場門の方へ向かった。
「てかみんなヒドイよね。なんでよりにもよって、佐野がアンカーであたしがその前を走らなきゃいけないの?」
歩きながら、あたしはそんな文句を口にする。
「こういうイベント事では、みんな気を利かせてカップルをできるだけ近づけさせたいのよ」
「すること中学生みたい」