【完】こいつ、俺のだから。
「まだ下がらなわね……。今日お母さん、いつもより帰りが遅くなるかもしれないんだけど、ひとりで大丈夫?」
あたしのおでこに手を乗せながら、お母さんは心配そうに聞いてきた。
「大丈夫だよ。そこまでしんどくないし」
熱が高いわりには普通に布団から起き上がれるし、これくらいなら平気だ。
「そう?無理しないのよ?仁菜はいっつもそういうこと言わないから……」
「言うことの程じゃないからだよ」
まったく、うちのお母さんの心配性ときたら。
面倒見もよくて、仕事に行かなきゃいけないギリギリの時間まで、あたしの看病をしてくれる。
食事を作って運んでくれたり、おでこの冷えピタを変えてくれたり。
体調が悪いって言ったら、下手したら仕事まで休んじゃいそうな勢いだ。