【完】こいつ、俺のだから。




「……あたしも、助けるから」



フイッと目を逸らしながら、佐野に向かってそう言う。



「は?」



「佐野があたしを助けてくれたみたいに、今度はあたしが佐野を助ける。あたしばっか弱いところ見せるなんてイヤだもん。

だから、困ったことがあったらいつでも連絡して」





すると佐野は、隣にいるあたしの手を掴んできた。



拍子にあたしは顔をあげてしまう。


お互いの目が合った。





「困ってないと、ダメなのか?」



「……っ」




甘えるような佐野の声に、頭が真っ白になる。




だから……そういう顔で見つめないでって言ってんじゃん。



心臓がドキドキするんだよ。



体の奥から全身が熱くなって、どうしていいかわからない。



……ボーッとして……寒気がすごくて…



って……あれ?



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