【完】こいつ、俺のだから。
クラクラと目眩がして、あたしはフラッとよろめいた。
「おいっ!!」
後ろに倒れそうになったあたしを、咄嗟に佐野が支える。
「……ごめん。大丈夫」
「嘘つけ全然大丈夫じゃねぇだろ!お前の頬、すげぇ熱いじゃねぇか!」
頬に触れた手は、時期にあたしのおでこにやってきて、冷め切ってしまった冷えピタをゆっくりとはがしてく。
「でこも……すげぇ熱い……」
おでこに触れた佐野の大きな手は、ちょっと冷たくて心地よかった。
心配そうに覗き込んで、壊れ物のように優しく触れる。
「お前もう寝とけ。眠くなくても目閉じとくだけで楽になれっから」
そう言ってあたしのスマホを奪い取り、机の上に置くと、そっとあたしをベッドに寝転がす。
「……珍しい」
「あ?」
「佐野がなんか、優しい」