【完】こいつ、俺のだから。
「……っ!」
あたしの言葉に、佐野はギョッと目を見開いた。
「こ、こんなもん優しくねぇよ!普通だ普通!
つ、つーかバカは風邪ひかねぇってテメーが言ったクセに、バカなお前がひいてるじゃねぇかっ」
どこか誤魔化すように、話を変えた佐野。
遠回しにあたしはバカって言われてたっぽいけど、なぜか笑みがこぼれてしまった。
「……ね。なんで風邪ひいてんだろうね、あたし。バカなのに……」
ホント。なんであんな、バカなことしたんだろう。
なんで、弱音なんて吐いちゃったんだろう。
いまだに思ってしまう。
「……嘘だよ」
「……?」
佐野の言葉に首を傾げた。
ヤツはベッドに寝転んでるあたしの顔を見ながら、布団を掛け直してくれる。
「お前、昔からそうだよな。
中学のときも、行事で大事な役任されて、頑張りすぎて、よく体調崩して学校休んでたろ」