【完】こいつ、俺のだから。
「…………」
「…………」
シーン。
……あれ?
今あたし、なんて言った?
豆鉄砲をくらった鳩みたいな顔をしてる佐野を見ながら、ぼんやりとそんなことを思った。
佐野は未だ、目をしばたたかせあたしを見てる。
見てる? 見て……あ、逸らした。
瞬時、その横顔は真っ赤に染まり、佐野はズババッと、そりゃあタイムウォッチで計測したいほどの速さで後ろに下がる。
「……えっ、あ……うっ……!」
さらに、言葉にならない奇声を発し始めた。
――ガンッ!!
「いっ……つ……!」
そしてさらには、テーブルの足で小指をぶつけたようだ。
「……大丈夫?」
連続的な不幸に、あたしは思わず心配してしまう。
だけども彼の顔は、健康すぎるほど真っ赤だ。よく血が通ってそう。
いやぁ、血行がよくて結構。