【完】こいつ、俺のだから。
「だ、大丈夫だ……っ!っつ」
うん、涙でてる。すごく痛そうだね。
「大丈夫……、だが!」
「だが?」
痛みに耐えながら、思いっきり顔をあげた佐野。
その手には、さっきのビニール袋から取りだされたサトウのご飯があった。
「て、てめぇどうせ昼飯食ってないんだろ!?
だから俺が作ってやる!チッキン借りるぞ!」
「え」
待て待て佐野。
嘘だろ……?
あんた……
……サトウのご飯派かよ!!
あたしは熱で、脳が正常じゃなかったのか。
このとき、
あんた料理作れるの!?とか、
キッチンをチッキン(鳥肉焼いちゃったね)と言い間違えてるよ!?
とかではなく、
真っ先に佐野が、サトウのご飯派だったことに感動してしまったのだ。
だって佐野と言えば、玄関あけたらサトウのご飯だから。