【完】こいつ、俺のだから。
「お前、おとなしく寝とけよっ!」
佐野は恥ずかしそうに真っ赤な顔してあたしを指差しながら、前を見ずにドアの方へ歩いてた。
「ちゃんと布団かぶって、んでその……ぶっ」
あ、ぶつかるよ。
そう言う前に、ドアにぶつかってしまった佐野。哀れだ。
「だ「大丈夫だ!!」
……あたし、だしか言ってないよ?よくわかったね。
バタンと、閉まったドアを確認すると、あたしはおとなしく布団を自分に掛け直す。
眠くないから目を閉じるだけだけど。
あーでも安心するな。
弱ってるときに人がいるって、なんでか安心する。それがたとえ佐野であっても。
……いや、佐野だったからなのかもしれない。
よくわかんないや。
――『あたし、寂しくないよ』
でもね佐野。
あれは確かに、あたしの本音だったよ。