【完】こいつ、俺のだから。
譲る気ねぇから
【佐野 悠月 side】
チーン。
電子レンジが音を立てる。どうやらサトウのご飯が出来上がったようだ。
だけど俺はそんな音も耳に入らないくらい、心臓がバクバクと言っていた。
さっきのはさすがにマズイって。
『あたし、寂しくないよ』
繋いでいる手を、ギュッと握り返す感覚。
ちょっとしんどそうな、トロンとした顔で俺を見つめて。
『だって今、佐野がいてくれてるじゃん』
その言葉は反則だろ……。
思い出しただけでも顔から火がふきそうなほど熱くなる。
俺はキッチンの水道を出して、思いっきり自分から顔を当てにいった。
「……ぶめでぇ(つめてぇ)」
鼻の中に水が入るだけで、特に熱が冷めることはない。
だが、ここは我慢だ!呼吸を止めて修行をするんだ俺!(息を止めてドキドキも止める作戦)