【完】こいつ、俺のだから。
「おいブス」
こんなときに、ヤツは背後からやって来た。
「見ろよこの冊子。俺が印刷したんだぜ?どうだ、欲しいだろ?」
どこか自慢気に文化祭のしおりをヒラヒラさせて見せてくる佐野。
書いたワケでなく、印刷しただけだよね?
ていうか、
「もうもらった」
「なに!?」
さっき先生から頂いたよ。休んでたからって。
「あ、佐野くん。ちょうどよかった。あなたも文化祭の委員なんだから協力してよ。仁菜ちゃんにメイド服を着てもらうよう、言って」
「は?メイド服?」
前野さんは、佐野にそんなことを頼む。
え、佐野って文化祭の委員だったの?
あ、だから文化祭の冊子印刷したんだ。自慢することじゃない、仕事しただけだね。