【完】こいつ、俺のだから。
「…………」
ふいに、伸びてきた手。
腕まくりしてる体操服から見えるその腕のは、ほどよく筋肉がついててたくましい。
そんな手が、あたしの頭にのっかり、徐々に後頭部に移動してきて、
「……っ」
――パサッ。
そっと、ポニーテールをほどいた。
「……! な、なに!?」
「…………」
口を相変わらずむすんだまま、なにも言わない佐野。
怒ってるような、自己嫌悪のような雰囲気さえ感じられる。
「別に」
やっと言葉を発したかと思ったら、そっぽ向いちゃうし。
いったいなんだって言うんだ。