【完】こいつ、俺のだから。




「あ、そうだ。佐野と前野〜」



そのとき、担任の佐野と前野さんを呼ぶ声がして、佐野はビクッと我に返り、あたしから手を離した。



「委員のお前らは後夜祭準備があるらしいからそっちに行けってよ。放課後もあるらしいから頑張れよー。

そんでもって、たった今アイスが完売した。全員もらったかー?」



見ると先生が、今思い出したかのようにゆるーい口調で後夜祭準備の説明をしている。



……へぇ。


佐野、今日は放課後残るんだ。



「って、え!?」



い、いいいい今!!


先生、アイスなくなったって言った!?




「先生!あたしアイスもらってません!」



挙手して必死にもらってませんアピールする。


はいはい!あたしのソーダ味は!?




「おー、まじか中原、ごめんな」



謝る気ねぇだろ中年オヤジ。




大きく息を吸って、ため息を吐く。



まぁいいや。




「ちっ。準備とかめんどくせぇな」



隣で舌打ちをした佐野は、ダルそうにそんなこと言う。




そして、



「おいブス」



「あ?」



「俺今日は送ってやれねぇけど、まっすぐ家に帰れよ」



あんたあたしの父さんか。



< 254 / 418 >

この作品をシェア

pagetop