【完】こいつ、俺のだから。
だけど……。
――ガラッッ!
「……はぁっ、はぁっ……」
扉は勝手に開いた。
傾くオレンジ色の夕日が、あたしと先輩のいる教室に光を降り注がせる。
逆光で、教室を開けた人物はよく見えないけど、でも、
「お前、なんでここにいるんだよ……!」
息切れしてても、こいつの声を聞き間違えるはずがないんだ。
だっていつも、あんたはとんでもないタイミングであたしの前に現れる。
ホントに助けて欲しいときに、現れるんだ。
……まるで、ずっとそばで見守ってくれてるみたいに。
一歩、教室の中に入ってきたそいつの顔がよく見えた。
「佐野……」
「なんつー格好してんだバカ」
容赦ない乱暴な言葉に、なぜかあたしは泣きそうになった。