【完】こいつ、俺のだから。
「ごめ……っ、佐野のこと、待ってて……」
声が震えてる。
カタコトで、うまく言葉がでない。
「なんで俺を待ってんだよ。今日は送れないっつったろ」
……〝今日は〟?
ホントに今日だけ?違うでしょ。
文化祭が終わって、約束の1ヶ月がきたら、もうずっとでしょ?
だから、ちょっとでも佐野のそばにいたかったんだよ……。
「あーもういい。わかった」
ずっと黙ってると、しびれを切らしたように佐野はそう言って、ブレザーを脱いでメイド姿のあたしにそれを着せた。
「とりあえず、その格好早くどうにかしろ」
「…………」
佐野の温もりと、佐野の匂いに包まれる。
肌寒かった温度が、嘘のように消えた。