【完】こいつ、俺のだから。
「着替えたら玄関で待っとけ。送るから。
ほら、あと3秒で行け。おらおら」
「い、痛いっ……!ちょ、蹴んないでよ!」
ヒドイったりゃありゃしない。
ガチでこいつ、人を足蹴(あしげ)にしてきたぞ。
「行け」
ポンッと背中を押され、あたしは教室から出された。
そしてピシャリ。
ドアは強く閉められる。
隔てられたドアの向こうには、佐野と先輩だけになった。
肩にかかってるブレザーは、まだ佐野の温もりを残している。
出口はこんなにも、簡単に見つけることができたのに。
自分の気持ちに気づいたそんなときに……
……隣に佐野は、いてくれない。