【完】こいつ、俺のだから。
俺じゃあダメか?
【佐野悠月side】
「よっしゃー!終わったぁ」
やっと後夜祭準備が終わり、達成感のあまり思いっきし伸びをした。
「お疲れ様」
「お、前野もお疲れ」
一緒に作業してた前野も、クッと伸びをして微笑んだ。
「準備も終わったし、片付けしたら一緒に帰らない?」
「あーそうだな。早く帰ろうぜ〜」
「……え、いいの?」
俺の言葉に、前野はキョトンとびっくりした顔をする。
「?」
小首を傾げると、
「いや、だって仁菜ちゃんいるし……」
申し訳なさそうな表情を見せた。
あぁそういうことか。
俺、あいつの彼氏ってことになってるもんな。偽もんだけど。
あまりにも実感がわかないし、ていうかそんな関係っぽい雰囲気にならないから、つい忘れちまう。