【完】こいつ、俺のだから。
「誰か残ってるのかな?
さっき先輩が見回りしに行ってたけど……」
あーそういえば、さっき戸田ってやつが学校の中戻っていくの見たな。
ぼんやりとそんなことを思いながら、教室を見つめていた。
だけどその直後、教室の窓を閉めにきた人物にハッとする。
「あれ……? 仁菜ちゃん?」
……嘘だろ。
なんであいつ、まだ残ってんだよ。
帰ってなかったのか?
「!」
嫌な予感がした。
見回りに行った戸田と、教室に残ってる中原。
ふたりが鉢合わせるんじゃないかって、そんな予感が頭をよぎる。
……奪われる。
俺がこれまで溜めてきたもんを、一瞬で持ってかれる。
あいつの気持ちを、持ってかれちまう。