【完】こいつ、俺のだから。
……なぁ、どうしたらいい?
どうすればお前は、俺を好きになる?
そっとこいつの手を握り、引き寄せた。
「……な、なに!?」
不意を突かれて驚いてるこいつは、バランスを崩して俺にもたれかかる。
やばいな。誰にも譲りたくない。
もっと触れたい。
お前は俺のもんだって言っただろ……?
「俺じゃあダメか?」
こいつの体を支え、まっすぐにこいつの目を見つめた。
驚いてるこいつは、戸惑いを隠せないように目を見開いている。
その大きな瞳は困惑しているように、ユラユラと揺れていた。
そっと、片方の手をこいつの頬に添える。
思いのほか柔らかくて熱い頬に、俺の心臓は早くなる一方。
ラインをなぞるように、その手を顎まで移動させると、少しだけ上を向かせた。
ゆっくりと顔を近づける。
「……っ」
こいつの唇に、自分の唇を押し当てた。
……ごめん。
いつまでも素直になれなくて。
……ごめん。
弱くてズルい、ヒーローで。