【完】こいつ、俺のだから。





「これで逃げたつもりか」



ちっと小さく舌打ちをして、あたしはまた打ち間違いのわかりやすいラインを見つめた。



ふざけるな。人の唇を奪っといて。



あたしが今度は問い詰める。




『俺じゃあダメか?』




その言葉の意味を、まだ確認してない。



そして、あたしまだその言葉に返事してないよね。




ねぇ、いい加減教えてよ。



約束の期間が切れるまでに、教えてほしい。





――『こいつ、俺のだから』



始まりのあの日から、今日までずっと。




『忘れさせてやるよ。この俺が』




……どうしてあたしを、



こんな、どうしようもないあたしを、ずっとそばで見守って、助けてくれたのか。




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