【完】こいつ、俺のだから。
「偽物でも、お前のそばにいれんならそれでいいと思ってた」
恥ずかしそうにうつむきながらそう告げた佐野は、顔を上げた。
「でももう無理。いい加減、俺のこと見て欲しい」
佐野があたしを真っ直ぐに見つめる。
ストレートにぶつけてくるその言葉は、すごく熱くて、甘くて、あたしの心をドキドキとさせた。
「お前のことが好きだよ。……すげぇ好き」
ずっと秘めていた想いを打ち明けるように。
大切なものみたいに、優しく囁かれた佐野の想い。
いつの間にか、疑問とか不安とかそんなのでいっぱいだった隙間だらけの心が、
ゆっくりとだけど確実に、佐野の言葉で満たされてく。
満たされて、胸がいっぱいで、何も言えなくなる。
何から言えばいいのかわかんない。
……だってそれ、たぶんあたしの欲しかった言葉だ。