【完】こいつ、俺のだから。
あたしの言葉に、光はパァァっと明るい表情を見せた。
「そっかぁ……!おめでとう!」
「うわっ」
ギュムッと強く、光はあたしを抱きしめる。
「良かったぁ……!
仁菜が先輩と別れてからずっと不安だったの。
仁菜あんまり笑わなくなっちゃったし、もう恋愛しないのかなぁって……でも、ホント良かった」
……うそ。
光も佐野と同じみたいに、あたしが最近笑わなくなったことに気づいてたの?
ずっと、不安に思ってたの?
「……ごめん、光」
あたし、そんなことひとつも知らなかった。
「謝らないでよ。
でもだからこそ、佐野くんに本当に感謝してる。あたしの大事な友達を大切にしてくれて。
これでふたりは両想いじゃん!」
「……!」
……そうなんだよね?
佐野も、あたしと同じ気持ちなんだよね?
――『お前のこと好きだよ。……すげぇ好き』
あの言葉が、なによりも証拠。
思い出すだけで顔が熱くなる。