【完】こいつ、俺のだから。



ドキッとした。



なんでそんな、あたしと付き合うために、なにかメリットがあるってワケじゃないのに、必死なの。



意味わかんない。



でも、本当に意味がわかんないのは……



「……い、1ヶ月だけだからね」



「え?」



「佐野が昨日言ってたじゃん。1ヶ月でいいから付き合えって……。
だから、1ヶ月間なら……」



こんなことを言ってしまう、あたし自身だ。





「まじで!?」




パァァっと表情を明るくした佐野に、あたしは呆然。



ほら、そんな嬉しそうな表情するから、誤解しちゃうんじゃん。




「これで1個目の借りは返したからね!」



「おう。サンキューな」




……くそぅ。



なんでそこで素直にお礼なんて言うんだ。



いつもみたいに嫌味たっぷりな言葉を投げかけてさえくれれば、あたしだっていつもの調子で返せるのに。



……なんかくすぐったいじゃないか。



まぁいい。1ヶ月でしょ?30日間じゃん。


ちょうど今から、1ヶ月後にある文化祭が終わるくらいの時期にバイバイってことでしょ。我慢じゃん。



< 32 / 418 >

この作品をシェア

pagetop