【完】こいつ、俺のだから。




――ガラッ!!




「直人っ!」




突然保健室が開き、先輩とあたしは同時に声がした方へ振り向いた。



そこには可愛らしい女の子がひとり、息を切らして立っている。




この人……




「彩(あや)!」



目の前にいる先輩は、女の人を見てそう言った。



たぶん、あたしの記憶が正しければ、先輩が前に抱きしめていた人……先輩の幼なじみだ。



「お前なんでここに?文化祭は?」



「さっき直人が具合悪くなったって聞いて、急いで来たの!
……でも、保健室の前に誰かいてなかなか入れなかくて……」



……え?誰か?



女の人の言動に疑問を抱いたけど、そのとき深くは気にとめなかった。



中に入ってきた彼女は、あたしが誰か気づくと、ピクッと反応して立ち止まる。



「あなた……」




幼なじみなのだから知ってるだろう、あたしが先輩の元カノであることを。



現に彼女はあたしを見て、驚いてる様子だ。



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