【完】こいつ、俺のだから。

「うるせぇな。別にいいだろ。お前も俺と付き合うのイヤがってたじゃねぇか」



……なにそれ、全然よくない。



確かに最初はイヤだったよ。なんで偽物でも、佐野の彼女にならなきゃいけないんだって思ってた。


でもそれは、過去の話だ。






それに、あたしが聞きたいのは、



「別れる……だけ？」



そのあとの言葉は、ないの？




「あぁ、それだけ。
もう俺らはあかの他人。無関係。今からただのクラスメイト」



「……！」



冷たく放たれた言葉は、あたしの胸に鋭く突き刺さる。


張り裂けるように痛かった。




……どうして……？




「……待ってよ……。
今朝、佐野言ってたじゃん……あたしのこと好きだって言ったじゃん！

あれは全部、嘘だったって言うの！？」




――『俺じゃあダメか？』


――『お前のこと好きだよ。……すげぇ好き』







「あぁ、嘘だよ」



「……え」



「最初から全部、嘘に決まってるだろ。
もしかして信じてた？
……はっ、バッカじゃねぇの」




頭を強く鈍器で殴られたように、衝撃が走った。