【完】こいつ、俺のだから。
「でもさ。ずっと気になってたんだけど、なんで佐野は嘘でもあたしなんかと付き合おうと思ったの?」
利益なくない?
と、佐野のスマホにあたしの連絡先を打ちながら、そう聞いた。
「だから、お前を利用するんだって」
「は?」
「昨日も言ったけど、お前は俺の下僕だろ?」
「…………」
まさか、こいつのメリットはそれか!?
「やっぱり付き合うの撤回したい……」
「バカ野郎。今更そんなもんはなしだ、なし。
俺は無理な頼み事はしねぇよ」
本当かなぁ?と、疑いの目で見てしまう。
だって無理な頼み事しないんだったら、利用って言ってもできることは限られてくるし。
本当にそれだけの理由?と、思ってしまう。
「……まぁ、しいて言うなら、女よけ」
「……女よけ?」
「そ。告ってくるやつとか、たむろしてくるやつとかウザイから。付き合ってるやついるって言えば、すぐに諦めるだろ」
はっ。
……モテる人の悩みってやつか。