【完】こいつ、俺のだから。
……ダメだ。
このままじゃダメ。納得いかない。
ちゃんと佐野と話さなきゃ……。
「おはよー仁菜」
「あ、おはよう光」
しばらくして、今度は光がやって来た。
「さっき玄関で佐野くん見かけたけど、どうしたの?
あんた達が別々に登校なんて珍しいじゃん」
「……それは……」
――ガラッ。
教室のドアが開いた。
佐野だ……。
「おはよーっす!佐野!」
「おう」
楢崎のあいさつに、佐野は軽く手を上げる。
なのに、
「佐野……っ!」
あたしが呼びかけても、スッと横を通り過ぎるだけ。
……あたしには、目も合わせてくれない。
なんで?なんでよ……?
あたしはその場で、うつむくことしかできなかった。
「「…………」」