【完】こいつ、俺のだから。
今まで佐野は、ことあるごとに強引にあたしを巻き込んできた。
勝手に彼女にさせられて、
勝手に弱音を吐かされて、
勝手に佐野のこと、好きにさせられた。
これ以上、ヤツの好きにさせてやるもんか。
もう佐野の願いなんて聞いてやらない。
ただで別れるなんて、許さない。
今度はあたしの願いを聞いてもらう番だ。
「あたしの本気、見せてやる」
そう強く意気込むと、光と楢崎は嬉しそうに笑みをこぼした。
窓の外を見れば、いつの間にか雨はやんでいて、雲の間から太陽が顔を出していた。