【完】こいつ、俺のだから。
「お前なに告白なんかされてんだよ、生意気」
ちっと小さく舌打ちをしながら、佐野はあたしの抱きしめる腕を緩める。
「……うっさいなぁ!佐野には関係ないじゃん!」
「関係あるし!お前は俺の彼氏だし!」
……ん?
「……ぷっ。いやいや佐野。違うよあたし、あんたの彼氏になった覚えない。
そこは普通、俺はお前の彼氏だし!でしょ?
なに間違ってんの?」
グフフと笑いが堪えられないでいると、佐野は自分の失態にみるみる顔を赤く染めてく。
「うっせー!!」
そして今度は無理やりあたしの手を掴み取り、グイグイと引っ張り出した。
「……ちょ!なに!?」
「いいからテメェは黙ってついてこい!」
「待ってよ!まだ話してる途中……」
「ほっとけ!!」
……なっ!!
ったく、相変わらず自己チューなんだから!!
あぁほら。あの男の子がオロオロと心配そうにあたしを見ているじゃないか。
仕方ない。
彼には後日、また日を改めて謝罪しに行くか。