【完】こいつ、俺のだから。
とりあえず、この不機嫌な彼氏をどうなだめようか。
「どうしたの佐野?」
そう聞くと、振り返りながら佐野は叫んだ。
「どうしたのじゃねぇだろ!
お前がそんなだから俺が怒ってんだろ!」
「……もしかして、ヤキモチ?」
あたしの発言が効いたのか、ピクッと一瞬動きを止める佐野。
みるみるうちに頬を赤く染めていくが、すぐに眉を吊り上げてまたあたしを睨んできた。
「妬いてたとしたらどうだって言うんだ!
他の男が自分の女に触ろうとしてたらイライラするのは当たり前だろ?
そんなこともわかんねぇのかお前は!」
「……!」
否定すると思ったら、まさかの大肯定だ。
どうやら佐野は、そうとうご立腹の様子。
こういった事態は初めてで、どうしようか戸惑ってしまう。
言い返すことができなくて、あたしはうつむいてしまった。